中医を学んだ人なら、「老中医」とか「名老中医」という言葉を聞いたことがあると思います。
そして恐らく、老中医とは「ベテラン中医師」または「腕のいいベテラン中医師」のことだと思われているのではないでしょうか。
しかしこの理解は、厳密には間違いです。
なぜなら「ベテラン中医師」であっても、または「非常に腕のいいベテラン中医師」であっても、「老」中医でない中医師は、たくさんいるからです。
では「老」中医とは何なのか?
上で、わざと 老中医 ではなく 「老」中医 と書いたところに、本当の意味が隠されています。
もうお分りかもしれませんが、中医の世界の「老」には、いわば「のれん」とか「親方株」とか、または「代紋」みたいな意味があるのです。
たとえば、日本に「更科」を名乗るそば屋は数千軒とあります。
でも江戸時代の「布屋太兵衛」から正式にのれん分けした更科は、今でも10軒ほどしかありません。
また極道の世界だって、親分から杯を受けて、ちゃんと代紋を背負った上で苦労した人間でなければ、その組の跡目は継げませんよね。
老中医の「老」も、これらと似ています。
つまり老中医には「老中医の弟子」しかなれないのです。
だから学校や学会、また行政の中でたくさんの肩書きをもっている「大教授のベテラン中医師」であっても、本物の「老」中医たちの前では、小さくなっていたりします。
自分が「どこか外部」であることを、自覚しているからでしょう。
逆に言えば、相当な大物「老」中医の弟子であれば、40歳ぐらいであっても、他の「老」中医たちから、「あいつはもう“老”を名乗ってもいいな」と認められていたりするのです。
良い悪いは別として、伝統とは、そういうものなのだと思います。
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